2016年6月21日

意外に深い理由とは?映画『ズートピア』のメッセージを分析してみた

投稿者: sanoe

https://youtu.be/V_IkrSTie-Y

「意外に深い」という口コミでますます気になっていた映画『ズートピア』。やっと観ることができました。そうだね、確かに意外と深かった。…というわけで『ズートピア』の感想を書きます。映画を観た方だけ、よかったらどうぞ。

名作『ライオンキング』から変わったことがある

ディズニー映画で、ナンバーワンに好きだったのは『ライオンキング』ですが、それに迫る作品でした。ただの動物キャラ好きです。

『ライオンキング』は、子どもの頃に父親を殺されてトラウマになってしまった主人公シンバが、自分の血筋を信じて自分自身を取り戻す話。トラウマから自由になるための考え方も、成長しながら学んでいきます。
「周りが背を向けたら、自分が世間に背を向ければいいのさ」というティモンの哲学や、「痛みは続く。そこから逃げるのか、そこから学び取るか」というラフィキの言葉。

当時、学校の人間関係に悩んでいた私は、『ライオンキング』にどれほど励まされたか…。

『ライオンキング』も『ズートピア』も登場するキャラクターはすべて動物。動物を通して人間の世界を表現しているという共通点があるものの、決定的に違うと思われる点があります。

相手についての「なぜ?」を想像する

絶対的な「悪」がいないこと。
ネタバレになるから書かないけれど、最後の黒幕も自分なりの正義があって事件を起こし、詐欺師として登場するキツネのニックも、なぜ生き方が歪んでしまったかという過去を見せています。
キャラクターの裏にある「なぜ?」を見せることで、完全に憎むべき存在ではないことが自然と考えさせられます。
差別や偏見をテーマに扱っているからこそ、一人の人格の奥深くにあるものを想像する大切さもさりげなく盛り込んでいるところが、『ライオンキング』にはなかった点ではないかと。良い面だけではないから、キャラクターがさらに人間的というか。弱い、ずるい、小さいといったネガティブな面が見えるから共感が持てる。

人間の世界で今起こっていることを動物の姿に投影して、警鐘を鳴らしているところが、意外に深い大人向けの映画ではないかと思います。

もちろん、ディズニーの永遠のテーマである“夢は叶う”というメッセージも、いたるところで披露されています。すさんでしまった大人な私は「本当に夢を叶えるには、並々ならぬ道のりがあるんだよ…」というつぶやきを飲み込んで、ひとときの夢の世界に浸るのですが。

警察官になる夢を持つウサギの主人公ジュディにも、様々なドリームキラーから「どうせ無理だよ」「安定が一番」と反対されますが、「私は諦めが悪いの」と健気に立ち向かっていく姿には、やっぱり無条件で励まされます。だからディズニー大好き。いい歳になっても。